ゆめ(a)
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、おかえり」

たちが郵便屋の家に帰ると、すでに帰ってきていたが出むかえた。
そしてのとなりには、の知らない少女がいた。

「おや、めずらしい。ベルナデットが僕の家に遊びにくるなんて」

ベルナデットと呼ばれた少女は、郵便屋の言葉に口のはしを上げた。

「私は、あまり子どもが得意というわけではないからな。……しかし、たちの話に興味があったから」
「歓迎しますよ。すっかり遅くなってしまいましたが、夕食にしましょう」

それからたちは、アルノとロミィが作った食事をとった。

は、ちらちらとベルナデットのことを気にしていた。
てっきり図書館のときのようにいろいろと聞かれるかと思っていたのに、
ベルナデットは結局、食事のあいだは一度もあの森の話題を出すことはしなかったのだった。

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夕食後、ベルナデットはを夜の散歩へと誘った。
太陽はしずみ、家の外は昼間以上に冷えこんでいた。

ベルナデットの歩幅は小さい。
はベルナデットに合わせて、歩く速度を落とす。

昼間よりも透明な空気を小さく吸いこんだあと、はベルナデットに話しかけた。

「そういえば、ぼく、森の言い伝えの話をまだ聞いていないんだ。……ベルナデット、どんな言い伝えなの?」
「あの森には神さまが住んでいる、と言われている。
この街の名前にもなっている"ライナス"とは、もともとその神さまの名前だったそうだ。
森の神さまはどんな願いでも叶えてくれるが、願いを叶えてもらう代わりに、必ずおそろしい代償をはらわなければならない。
だから街の人々は"うっかり"願いを叶えてもらわないように、あの森には近づかないようにしているのだ」
「……それ、あくまで"言い伝え"だよね?」

が言うと、ベルナデットがほほえんだ。

「ほんとうにそう思うか? その森で、おまえたち兄妹が同時に記憶を失ったというのに?」
「じゃ、じゃあ……」

ベルナデットは、をじっと見つめた。
そして、おもむろに口を開いた。

「おまえたちが森の"呪い"にかかっている可能性は、高い。……そして、この私もな」



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